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Hiromichi Nakao
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夢のことなど

ぼくが見る夢は基本的に悪夢だ。

しかも幸か不幸か記憶力がすこぶるよいので目が覚めても忘れない。

幼稚園の頃に見た「網戸にずらり毒蜘蛛奇譚」なんて今でもトラウマだし

川沿いの大きな工場で万力みたいなでっかい機械にプラスチックの板で

ペチペチ叩かれるのとか地味に嫌だった。

「地下駐車場カミソリまみれ」や「ジャンボ黒犬はらわた大暴れ」

なんかは思い返すと戦慄する。

 

加えて自分のネーミングセンスの無さに辟易もする。それはさておき、

最近の傾向としては、映像や絵など、なにかの制作に没頭している時に

悪夢をよく見るようだ。「夢ぐらい夢見させてくれよ」とも思うのだけど

なかなかそうはいかない様で、昨年夏、新作の撮影まっただ中に見たのは

「株式会社やんちゃ坊主」てとこから葉書が届いた夢。ふざけた名前やなぁ

と思って裏見たら「三日以内に100万払わなころす」と書いてあったので

すこし恐くなって大力君に電話した。

大力君は「あ、それ僕のとこにも来たけど無視したで。放っといたらええんちゃう~」

との事だったので、その通りにしたら三日後に黒いスーツ来たおっさんが

100人くらいぼくの家に来て玄関のドア(もはや隣家も)

ぼこぼこに蹴りまくっていてたまらなく恐ろしかった。

 

早速、大力・三浦両氏に報告すると二人とも「あほや」

といった具合でニタニタと笑っていた。実際「あほや」と言われた。

 

しかし幸福な夢から醒めて落胆するよりも

悪い夢から解放されて安堵する方が案外幸せなのかもしれない。

風変わりな映画を観たと思えばそれもまたよし。一興である。

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